BooBooLOG #2

Guest Contribution 02

宮城県在住の板谷学(いたや まなぶ)さんによる寄稿レポート、第2回をお届けします。
板谷さんは、東北太平洋沿岸を結ぶロングトレイル「みちのく潮風トレイル」を運営するNPO法人みちのくトレイルクラブの職員で、名取トレイルセンターのセンター長。アパレルの仕事を経て50代で第二の人生を模索するなか、「歩くことで震災と向き合いたい」とみちのく潮風トレイルに飛び込み、全線1,025kmを47日間で踏破。そのまま吸い込まれるように名取市に移住し、現在の活動へとたどり着きました。2022年には憧れのPCT(4,265km)を6ヶ月かけて完歩。TRAIL NAMEは「BooBoo」。柔らかな雰囲気とこんなかっこいい生き方が、九州のハイカーたちから「学兄ちゃん」と慕われる理由です。

そんな学兄ちゃんが、「九州のみんなに会いたい、歩きたい」という想いを胸に、はるばる東北から九州自然歩道福岡セクションへやってきてくれました。「BooBooLOG」と名付けてくれた旅の記録を、全3回でお届けします。どうぞお楽しみください。

Day 2:鱒渕ダム付近〜呉ダム付近

Distance:30km

あちこち筋肉痛でガクガクになってこの日は歩けないんじゃないかと心配しましたが、前夜にCBDバームで念入りに足をマッサージして、アミノバイタルを飲んでから寝たのが良かったのか、朝起きたら不思議なほどにダメージが残っていなくて心底ホッとしました。

二日目は前日の山ルートとは一転して、のどかな里歩きからスタートです。
長距離自然歩道には舗装路を歩くルートが結構あります。
山登り中心に歩いていた頃は、舗装路を歩くことに正直あまり良い印象を持っていませんでした。山と山を繋ぐ消化試合のような存在と思っていたのです。しかし、みちのく潮風トレイルを歩いて「歩き旅」の楽しさを知ってから、その考えは変わりました。本来の意味でのトレイル、自然の中を歩くのはもちろん楽しいですが、里や街を歩くことで得られる発見や出会いにも、長距離を歩く旅の魅力だと感じるようになりました。人の暮らしの近くを歩き、運が良ければ地元の方とも挨拶や会話を交わしたり。そうしたことも含めて、今では日本の長距離自然歩道の魅力だと感じています。そんな訳で、今やむしろ里歩き好きになった僕は、わくわくしながら2日目の行程を歩き出しました。

農村の風景を楽しみながら歩いていくと、ほどなく予期しない登り坂が登場し、歴史を感じる隧道からの坂を下りたところで、遠くにどーんと変わった形の山が見えてきました。あれが今日のハイライト、平尾台か、かっこいいー!とにわかにテンションがあがって写真を撮りまくります。登り出す前にバイパス沿いのファミマで補給。横手に回って、輩orホームレスに見えないように気をつけながら座って、おにぎりと豚汁で二度目の朝ごはんを食べました。
そしていよいよ平尾台へ。つづら折りの車道を歩きます。平日の朝で車はそれほど多くないとは言え歩道がないのが少し怖いなあと思いながらも、たまにチラッと目に入る山道らしきものは見なかったことにして(昨日の這々の体でお腹がいっぱいだったので)、九州自然歩道の看板もこちらに付いているし、と少し言い訳をしながら粛々と車道をつづら折っていきました。

最後のショートカット山道だけ使って登り口に着き、平尾台を歩き出します。ちょうど野焼きのすぐ後だったようで見晴らしがよく、なかなか経験したことがない開けた風景で、こうして一日のうちにいろいろなシーンに出会えるルートが楽しいです。
少し歩いて、見晴らしが良い所に置かれていたテーブルでランチタイム。ツェルトが結露でびしょ濡れだったのを思い出して、風にさらして乾かしながらおにぎりを食べました。と、下からトレラン姿の女子がひょこっと上がってきました。「よっ!」と挨拶してくれた笑顔を良くみると、あっ、ユウさんだ!「おーっ!」となりました。JMTハイカーで、このHike Kyushuで”YOULOG”も書かれているユウさん、この日はお休みで、平尾台を走りがてら僕のことを気にかけてくれていたとのこと。テントをばさばさ干している奴がいたので、あれは間違いなくハイカーだろうとチェックしに来てくれたそう。
平尾台入口に着いた時にユウさんに会えるかなあと「ひつじカフェ」の場所を確認して、歩くにはちょっと遠くてお店に行くのを諦めていただけに、こうして会えたのがとても嬉しかったのです。お互いの最近の近況や今後のことなど、なかなか濃い内容の話をしながら、休憩の後も千仏鍾乳洞まで一緒に歩いてもらって、おまんじゅうまでご馳走になってしまいました。久しぶりに会ってもこんな距離感で話せるのが、ハイカー同士の気持ちが良いところだと思います。年齢が離れていても同窓生みたいです。

ユウさんに見送られながら千仏鍾乳洞の下から自然道に入ってリスタート。売店の方の「この先の道は荒れてるよー、みんなにおすすめ出来る状態ではないかな」という言葉に少し怯んで臨んだルートは、倒木やらちょっとした道の崩れやらで確かに少しワイルドではありましたけど、歩けないレベルではなくてホッとしました。昨日の人通りが多い皿倉山~福智山ルートの山道とは違い九州自然歩道歩く人以外は通らない道のようだけど、とは言え歩いている人がいるから踏み跡がちゃんと残っているのでしょうね。
そして山を下りきって里に出て、この日の目的地に向かってラストスパートの自称パワーウォーク開始。九州は東北に比べて日が長いのが助かります。3月でも7時少し前までは明るいのでかなり気が楽です。途中商店の店先に座ってコカ·コーラでチャージ。旅を感じられるこんな瞬間が好きです。
コンビニの位置を勘違いして明日以降の補給をミスりましたが、もともと5日分の食料を持っているので問題なしと判断して、長い新仲哀トンネルに突入します。(上の峠の旧仲哀トンネルが閉鎖になっていてルートが付け替えになっているので要注意。)シュウさんの忠告通りに耳栓とマスクで完全防備、心を無にしてトンネルの中を歩きます。1,400mの長いトンネルを抜けたところに名水の販売施設があったので、10L/100円システムに戸惑いながら2Lだけ給水。予定通りの目的地にぎりぎり明るいうちに到着出来ました。

Day 2のひとこと

「ユウさんに言われた“テンション低っ!”は、いまだにじわります」

Day 3:呉ダム付近〜油木ダム付近

Distance:約30km+α

この日は歩き始めてすぐに大坂山を登るルートでスタート。前々日の山道トラウマも足のダメージとともにようやく薄れてきて、むしろ山道を歩くのが嬉しかったりします。
1時間くらい登って山頂へ。予期せぬ眺望の良さにテンションが上り、平尾台が遠くに見えることにも感動しながら、お得意のツェルトを風に泳がせての結露干し&小休憩。と、HouHouのお二人から「大坂山山頂からちょっと逸れて薬師の頭に寄ってみてくださいね」とタイムリーなビューポイントのおすすめがありました。こういうありがたい情報にはちゃんと乗るのがポリシーなので、足を伸ばしてみることにしました。ちょっとだけ下ったり登ったりすると、大坂山山頂とは違う方向、北方面の眺望も得られるビューポイントの薬師の頭に到着。あれが皿倉山か?三日間で結構な距離を歩いて来たなあ、と感慨深いものがあります。

大坂山に戻りゆっくりしてからツェルトもすっかり乾いたのでトコトコと山を下り、沢筋がやや崩れて道が不明瞭なところで戸惑ったりしながらも歩き、そのうちに舗装路がちらっと見えてきてちょっと気を緩めながら下りてゆくと、道路脇に一台の車が停まっているのが見えました。こっち側からも登る人がいるのかな、などと考えながらもう少し下りて行くと、あれ!?ミサトさんが笑ってこっちを見ている!あれれ!?ユウスケさんも陰から出てきた!嬉しいサプライズ、トレイルマジックです。ついさっきまでメッセージのやり取りをしていただけに、尚更嬉しいびっくりです。
この時撮っていただいた動画を観ると、なんとなくへらへらしながら棒立ちしていて感情が表に出ていなくて、前日のユウさんの「テンション低っ!」という評価もこういうところだぞ、と反省すべき点なのですが、こうしてお二人が来てくださって会えたこと、そしていろいろと差し入れをしていただいたことが本当に嬉しかったのです。ユウスケさんが淹れてくれたコーヒーもミサトさんが剥いてくれたりんごとオレンジも、とても美味しくて沁みました。待ってくれていた時間のそわそわ話なども後に改めて聞いた時には、さらに嬉しくなりました。
嬉しくて楽しいひとときの後、お二人に見送られながら坂を下り、はずせない次のポイント、源じいの森温泉を目指します。山頂でかなりゆっくりしたりで時間が押している感はあったのですが、みんなに勧められているので、ここは入浴で立ち寄る一択です。また臭い服を着て歩くのが嫌だなあ、などと入る前には思ったりもしていましたが、入ってみれば温泉や水風呂が気持ち良すぎていろいろとリフレッシュ出来て、立ち寄って大正解でした。温泉の効能かリフレッシュできたおかげか、その後かなりさくさくと歩けるようになった気がします。

この時は午後二時、マップによれば残すところ14km弱、3、4時間か。さくさく歩けているしまあ行けるだろう、と踏んでリスタート。ところがどっこい、この後に眼の前に山が現れて、まさかあれは登らないよね、という希望も虚しくひと山超える登り坂があり、ややワイルドな自然道があり、やっと舗装路に出た、ここからパワーウォーク(自称)だと思いきやまた更にワイルド気味な自然道に入っていき、歩いても歩いても目的地までの距離が縮みません。だんだんとあたりは薄暗くなってきてしまい、久しぶりにヒリヒリ感を覚えながら歩き、さらについに日も暮れようという頃合いにふっと舗装路に出られました。あーよかった!と思いきや、どうやらこの舗装路は自然歩道のルートを横切っているだけのようです。下の集落に出るまでは多分2kmもないと思われますが、今まで歩いたようなワイルドな道をヘッドランプで歩くのはちょっと危険と判断して、横切っている舗装路を使って目的地のダムまで行くことにしました。見ている地図アプリではこの道が出ていないので、Googleマップを見るためとライングループと家に生存確認連絡を入れるために、電波が入るポイントを探してとりあえずは舗装路を上方向に歩いて行きました。電波が入ってライングループでシュウさんと連絡が取れて、衣食住背負っているからどこでもビバーク出来るってことに改めて気付かせてもらって、気持ちが少し落ち着きました。とは言え次の日は雨予報だし、Googleマップによれば下のダムまでこの舗装路で行けそうだし、まだ足は動きそうなので、ぼちぼちと歩くことにしました。

やらかした感にしょんぼりしたり気を取り直したりしながら、そこから二時間くらい歩いて午後9時くらいに下界のダム湖に到着。かなり遠回りになりましたが、なんとか当初の目的地の近くまではたどり着きました。疲れ果てて次の日以降の佐賀方面への行程を歩く気力を失くし、雨予報だったこともあり、前にちらっと見ていた英彦山ホテル和のHPを開いて翌日の宿泊予約をポチってしまい、英彦山を今回のゴールとする、と決めてから眠りについたのでした。
お風呂の一時間がなければ、と思わないでもないですが、それも全て含めて今ではとても良い想い出です。
しかしながら、ライングループの皆さん、トレイルマジックを計画してくれていたカヨさん、その節は本当にお騒がせしました。そして、スマホでGoogleマップを見ないと道がわからない、なんてハイカーとして本当はまずいです。この舗装路が作業用の新しい道のようだから仕方ないとは言っても、少し情けなかったです。

Day 3のひとこと

「ただただ反省」

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